4月8日の例会では、認定NPO法人ヒカリカナタ基金代表の竹内昌彦氏に、「『1000人の子どもの目を治す』達成までの歩み」と題した卓話をしていただきました。
竹内氏は1945年、中国天津で生まれ、幼少期に失明されました。東京教育大学(現・筑波大学)盲学校を卒業後、岡山盲学校で教員として按摩・鍼・灸を指導。2005年の退職後は、講演活動や途上国支援に取り組んでいらっしゃいます。
卓話は30分という短時間でしたが、ご自身の幼少期の失明の経験や、7歳を目前としたご息子を亡くされた経験、教員人生と退職後の活動、そして2016年に設立されたヒカリカナタ基金の活動について紹介がありました。
基金は、竹内氏ご自身の経験に基づき、「自分と同じ境遇に苦しむ子どもたちを助けたい」という思いから設立されました。モンゴルやキルギスでの盲学校設立からはじまった活動は、小児白内障治療プロジェクトへと展開し、2025年1月には当初の目標であった1000人の支援を達成されたとのことです。
「生まれてきたからには誰かの役に立ちたい」という思いの素晴らしさについて語られ、会員一同あらためて深く感銘を受けました。
【ヒカリカナタ基金】
途上国の視覚障害児への医療支援を目的に2016年に設立された認定NPO法人です。
幼少期に失明した竹内昌彦理事長が「自分と同じ境遇の子供たちを救いたい」との思いで始め、手術費用の援助を通じてこれまで1,000人以上の視力回復を実現。主にモンゴル・キルギス・カンボジアなど7か国で小児白内障治療を支援し、現地医療団体と連携しながら「3〜5万円で1人の目を救える」活動を展開しています。寄付金は子供たちが描いた絵のレンタル展示でも募り、支援の輪を広げています。
【プロフィール】
1945年2月17日
中国天津生まれ(父親の赴任先で出生)
職歴: 岡山県立岡山盲学校元教頭、認定NPO法人ヒカリカナタ基金理事長
主な役職:
社会福祉法人岡山県視覚障害者協会副会長
社会福祉法人岡山ライトハウス理事長
点字ブロックを守る会代表
経歴
幼少期に肺炎を患い、その後の高熱が原因で視力をほぼ失い、数年後に網膜剥離によって完全に失明。東京教育大学(現・筑波大学)盲学校教員養成課程を卒業後、岡山盲学校で教員として勤務。
1964年東京パラリンピックで盲人卓球の金メダルを獲得。
1999年には同校の高等部教頭に就任し、2005年に退職。教育者としての活動を続ける傍ら、講演活動や途上国支援に尽力してきた。
「自分の命は自分一人のものではない」という信念のもと、限られた条件下でも最高に生きることを目指し、人類全体への貢献を目標として活動している。
講演活動
「いじめ」や「命の大切さ」をテーマに全国で約3000回以上の講演を行い、延べ30万人以上が聴講。「見えないから見えたもの」という独自の視点から人権や社会問題について語り続けている。
ヒカリカナタ基金
2016年、途上国の視覚障害児支援を目的に「ヒカリカナタ基金」を設立。2017年にNPO法人化し、2020年には認定NPO法人となる。モンゴルやキルギスなど7か国で盲学校設立や手術費用支援を行い、これまでに1000人以上の子供たちの視力回復を支援。
著書
『ヒカリをカナタへ』
『病理学概論』
『船長の粋な話』